カレームの部屋について

カレームの部屋にようこそ。
ここは、19世紀はじめのパリでパティシエとして、またキュイジニエ（料理人）として活躍したアントナン・カレームについて、さまざまな情報を提供するための場所です。
アントナン・カレームの名前を聞いてすぐに「あ、あの有名な」と応じられる人は、少なくとも日本では料理関係者かよほどの美食ファンに限られるでしょう。
しかし、カレームこそは世界に冠たるフランス料理の中興の祖ともいうべき人物です。
カレームなくして現代フランス料理の隆盛はありえなかった、と言っても過言ではないかもしれません。
まさしく巨匠と呼ぶに相応しい天才シェフ、それがカレームなのです。
ところが、そんな偉大な存在であるにもかかわらず、じゃあそのカレームは料理の世界にいったいどんな具体的な貢献をしたんだい、と尋ねられたならば、斯界の専門家ですら意外と首をひねってしまうのではないでしょうか。
名前は知られているが、その実像はというとぼんやりとしてはっきりと見えない。
カレームはそんな存在でもあります。
「王の料理人にして料理人の王」とまで讃えられたアントナン・カレームとはいったいどんな人物だったのか。また、どんな業績を遺したのか。
それを探ってみるための糧を提供しようというのが、この部屋の主な目的です。

部屋の展示は４つのパートから構成されています。
第１のパートは、カレームの人物像を浮き上がらせ、その仕事の内容に光を当てる「カレームのプロフィール」です。
ここではカレームの生い立ちからパティシエとして自立し、さらに貴族や宮廷の料理人として高い名声を得るまでの生涯を概観するとともに、カレームの実際の仕事や著作を通してその才能に焦点を当てます。
第２のパート「カレームの著作」では全部で６点ある彼の著作を紹介します。
それぞれの著作について概要を記すだけでなく、現在入手可能な電子書籍および復刻版書籍などへのリンクを付して、実際にカレームの原著に触れる機会を提供します。
第３のパートはカレームについて触れられている刊行物を網羅的に紹介する「関連資料」です。
と言っても、カレームについて扱っている資料はさほど多くありません。
ここで紹介する資料で、世界で流通している主要なカレーム関連資料をほぼカバーしていると言ってもよいほどです。
もちろん洩れているものも少なくないと思いますが、これは発見し次第随時追加していく予定です。また、そのような情報があればぜひお知らせいただきたいと思います。
最後のパート「フランス映画『晩餐』上映中」は、いわばおまけです。
ここでは1992年に公開された映画「晩餐」を鑑賞することができます。
この映画はカレームが主人公というわけではありませんが、冒頭のシーンでカレームが登場します。
ほんの短いシーンではあっても、カレームが出てくる映画は、管理人の知る限りでは他にありませんから、それだけで貴重です。
映画を楽しむためのちょっとした解説もつけました。

カレームの部屋が食を愛してやまない皆さんのカレーム研究の一助になれば幸いです。